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    選歌その24

    • 2014.11.05 Wednesday
    • 13:15
    024:維(TrackBack数1〜92)

    ■繊維質の言葉はチクチクするけれど翌朝スッキリしたいじゃないさ(西村湯呑さん)

     自然に放置しておいても分解しにくく、動物によっても消化されにくい。「繊維質の言葉」とは、筋張っていて味気のない、後に残るような言葉なんでしょう。フォーマルな場面なのかな。何となく「社交辞令」という言葉を思いました。そうした言葉が、喉の奥に引っかかった魚の小骨のように、断続的な痛みをもたらすけれど、翌朝スッキリしたい(から、今はこの痛みを受け入れ耐えるのみ)という意志が、含意として読めます。腰の句に据えた「けれど」の逆接が一首の中で効いているのと、結句の「したいじゃないさ」という科白回しの抗い感に希望を見出せるのが、この歌の味だと思います。

    ■ドラえもん映画で泣ける感性を維持したままでもう四十です(海さん)

     いいですね。この歌の主体が純真であるように、一首の詠み口も素直で何の衒いもない。要は、ちょっと変わった視点や表現をしてやろうとか、もっともらしく詩へ落として涙を誘ってやろうとか、そういう意図がないんですよね。まったくもって自然体。かたや二十半ばに差し掛かった自分が、胸が熱くなる感動をしても涙までは流せないその一方、子どもから大人まで広く愛されるドラえもん映画で泣ける四十の主体がいる。その感性が羨ましくもあるこの頃では、静かな語り口であるこの歌が、結句へゆくにつれ、胸に沁みてくるのです(相変わらず泣けはしないこの身体だけれど)。

    ■三日月は刃物の形 沈むとき空の繊維を引き裂いてゆく(ネコノカナエさん)

     弓なりの三日月を「刃物の形」と見立てられました。そして、その月のぼうやり浮かぶ空が、あたかもきめ細かい薄紙のように引き裂かれてゆく。独創性のある世界観で、ひとつの物語の一節を読んでいるような高揚感があります。ファンタジック。「空の繊維」とはまた言い得て妙です。言葉の情報量だけではどうしても表しきれない景というものってあると思うんですが、その垣根を飛び越えて、脳に直接その繊細な空のイメージが入ってくるんですね。もしかすれば、引き裂かれ今にも剥がれ落ちてきそうなこの儚い空は、主体の心情を表しているのかしれません。ただ一点だけ。「刃物の形」とは多分この歌で作者が一番言いたかった肝の言葉だと思うんですが、その答えをあえて歌中で言わないで、読者に「三日月はそういえば刃物の形だなあ」と読後にしみじみ思わせる構成の方が、より映えると思います。

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